選考を終えて(9月)
牢は、いかなるものなのか? 囚われている語り手と監禁している者の素性は? 語り手は、どのようにして脱出をはかるのか? その顛末は? 作者が考えるべきポイントがはっきりとした課題だったと思います。
応募作は、シリアスなものとコント風のものとに分かれました。秀作が多かったのは前者です。
「実験囚〇三四号」は、やや窮屈なのが惜しまれます。枚数に制限があるためで、作者には気の毒でした。倍の長さがあれば、より迫力のある小説になっていたでしょう。シビアな制約の中でがんばってくれました。
最も過酷な牢は、「石」で描かれたものでしょうか。想像すると息苦しくなってきます。が、「この石の身体こそが俺の魂の牢獄なのだ」という一節は、肉体に閉じ込められて生きる私たちのことを指しているようでもあります。
さて、来月は暗号の物語ですよ。

芦田 恵さん 20歳(京都大文学部3年)

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