選考を終えて(1月)
どちらかといえばユーモラスな物語を予感させる書き出しだったのではないでしょうか。思ったとおりそちら系統の作品が多く寄せられました。ツイストの利かせ具合で、仕上がりに少しずつ差が出たようです。投稿者には新しい顔ぶれがどんどん増えていて、読む側としてはとてもうれしい。より刺激的で、より面白い書き出しを考えなくては、と〈出題者〉は腕まくりをしています。
「HA・RUNA」の主人公は、普通の恰好をしているだけなのですが、「こんなの全然ロックじゃない」から、彼にとっては変装なわけです。変装というより隠蔽という自覚がおかしい。がんばって伏線も張ってあり、丁寧な書きっぷりです。
「カメレオン」は、短い中で意表を衝いた展開を見せてくれました。変装しているのは強盗だろう、と読者を惑わせるところがいい。男性行員ではない人物を地の文で〈男性行員〉と書くのはアンフェアなので、そこに工夫があればもっとよかった。
「鶏頭の頭は、」は、「うるさそうによける人」に感心しました。描写がリアルで、変な話にふくらみが出ています。「私」の仮説がやや弱いのと、最後の一行でテンションが下がっていることが惜しまれますが、楽しませてもらいました。

清島 愛さん 21歳 (立命館大文学部3年)
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