選考を終えて(4月)
不安をあおる書き出しだったせいか、ややダークな作品が多くなりました。とぼけたお話にもつなげやすいと思ったのですが。「理性は否定する」なんていう硬い言い回しがまじっていたからでしょうか。
本編につなげるのにも苦労した痕が見てとれました。「ありえない」という言葉が邪魔だったようですね。そうは思わなかったのですが、書きにくい〈問題〉だったのかもしれません。
「不思議の物語」を授業で取り上げてくださる学校があります。たいていは高校なのですが、今回は近畿大学付属小学校から八十四編もの応募が。
「行方不明になった女の子」の安藤真実子さんは近大付属小の五年生(投稿時)。私はその頃から遊び半分で小説を書いていましたが、こんなにうまくありませんでした。文章がしっかりしている上、筋運びもよく計算されていて、小説を書くセンスを感じさせます。本をたくさん読んで、才能を磨いてください。
一方、この春から社会人の中村亘宏さんは、まだ経験していないであろう人生の苦さを「アラーム(警報装置)」で描きました。語り手の悔恨が、説得力のある文章で綴られており、普遍性のある作品になっています。彼をさいなむようなアラーム時計の音も効果的ですね。
さて、来月はどんな不思議の物語に出会えるでしょうか。

中村 亘宏さん 22歳(会社員)

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