選考を終えて(6月)
今月は、応募数が多かっただけでなく、レベルもなかなかの高さでした。書き出しがよかったから? 新型インフルエンザで学校が休みになった影響? 前者だと思いたい。私自身、本当にこの書き出しで小説を書きたくなりましたから。
話しかけてくる声の主は、少女か老人が多かった。何となく予想していたとおりです。
佳作は次の三編です。
「それはだまし絵のように」と同じく、語り手が絵の中に入ってしまう物語が何本かありました。この作品は、読者をじっくりと説得していくような語り口がいい。絵に引き込まれる理由らしきものも書かれていて、手堅くまとまっています。
「描かれた彼の女」は、最後で物語が大きく展開して意表を衝かれました。まさか美術館が崩壊するとは。こういう切り替えは、とても小説的ですね。人間たちのドラマ、王女と騎士のドラマ。その二つがきれいに響き合います。
「絵画迷宮」は秀作なのですが、かつて別の書き出しで寄せられた「写り込み屋」(2008年2月)という作品を連想してしまい、やや割を食いました。ルノワールのあの名画があるということは、ここはオルセー美術館? 豪華な舞台にしてくれましたね。

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