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2010年1月27日 (水)

選考を終えて(1月)

 今回の書き出しは寺山修司の有名な歌をヒントにしているのです。

「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」

 勘がいい人は気がついていたかもしれませんが、それを意識したような作品はありませんでしたね。

 佳作の候補はたくさんあったのですが、三つに絞りました。

 「最後の灯火」は、ただ暗くて静かです。世界が消えていく理由はほのめかされもしません。私たち人間という存在の無常が投影されているかのよう。最後に瑞々(みずみず)しい姉の唇を描いたところが心憎い。

 「火だ。」は、切なくてもの哀(がな)しい。「火」が「悲」に通じているのでしょうか。この小説が何を語ろうとしているのかは、読む人それぞれが想像できます。そんな広がりを持った作品です。

 「氷の童話のある情景」は童話ではなく、童話のある情景。アラル、アラメという賛美歌は、子守唄(こもりうた)でもあるのですね。老女は世界の浄化を祈っているのかもしれません。マッチのぬくもりと雪の冷たさを感じました。

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